「投資回収期間の目安とは?」
「投資回収期間の計算方法が知りたい」
「投資回収計画の立て方を教えてほしい」
投資の回収期間を試算することは、意思決定の精度を高めるために重要です。
しかし回収計画が不十分であれば、間違った判断につながってしまうリスクがあります。
途中で回収できない状況を避けるためにも、綿密に検討を進めましょう。
そこで今回は、効率的に投資を行いながら会社を拡大し法人1期目で年商1.5億を達成した僕が、以下の内容を解説します。
- 投資回収期間の基礎知識
- 投資回収期間を評価する4つの方法
- 投資回収期間を含む計画書の作成と実行手順
本記事を最後まで読めば、安心して投資すべきかどうかの判断を下せるでしょう。
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投資回収期間の基礎知識をサクッと解説
多くの企業は投資するかどうかの判断基準として投資回収期間の長さを計算します。基礎知識として次の3点を確認しておきましょう。
- 期間の定義と重要性
- 投資回収期間の目安
- 投資回収期間の計算方法
それぞれ詳しく解説します。
1.期間の定義と重要性
投資回収期間とは投入した資金の回収にかかる期間です。投資回収期間を事前にシミュレーションすることで、その投資の採算がとれるのか判断できます。
とくに大きな設備投資の場合、この期間を意識しておかないと投資をしたものの回収できず赤字に陥る可能性もあります。経営判断をする上では非常に重要な指標です。
企業経営では無理な投資は禁物です。財務状況をしっかり把握して対応しましょう。
2.投資回収期間の目安
投資回収期間の目安は、企業の規模や資金力によって大きく異なります。昔は5年程度が目安と考えられていました。しかし現在は、経済環境の変化スピードが非常に速く先行きが不透明な状況のため、長期の回収期間を設定するのはリスクがあります。
世の中の変化スピードにあわせて回収期間も短くしていきましょう。
とくに資金力が十分ではない中小企業では、2年以内と考えておくのがよいでしょう。また、起業したてであったり、資金が十分でない場合は、1年以内の回収期間を目安にすべきです。
万一の長期化で企業の体力が消耗すると経営が圧迫されることもありますので、しっかりとした計画を立てることが大切です。
大型事業の投資の場合は2年以内の回収は難しいため、1〜2年プラスした計画を立てるとよいでしょう。
3.投資回収期間の計算方法
投資回収期間は次の計算式で算出できます。
投資回収期間=投資総額÷年間キャッシュフロー
年間キャッシュフローとは、その投資によって得られる現金のことを指します。
計算する上で、投資総額を明確にすることが重要です。設備投資の場合は、初期投資費用だけでなく、投資後に必要となる運転資金やメンテナンス費用など追加のコストも含めましょう。
次に、年間キャッシュフローを計算します。
たとえば、投資総額が2,000万円で、年間キャッシュフローが500万円の場合、投資回収期間は2,000万円を500万円で割った4年です。
この計算を行うことで、投資回収に何年かかるかを把握できます。
注意点としては、年間キャッシュフローなどの収支予測を正確に行う必要があることです。市場の状況や過去のデータをもとに、現実的な収支、もしくは悲観的な市場予測を用いて保守的に試算することが大切です。
なお、キャッシュフローの計算については、関連記事「【保存版】キャッシュフロー計算書の直接法を徹底解説!作成方法4ステップも紹介 」で解説しています。
正確に計算するため、あわせて確認しておきましょう。
投資回収期間を評価する4つの方法
投資回収期間の採算性を評価する方法は次の4つです。それぞれの使用方法や計算方法を解説していきます。
評価方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
回収期間法 | 計算が簡単 | 金銭の時間的価値が判断できない |
正味現在価値法(NPV) | 現在価値に換算するため基準がわかりやすい | 割引率の設定が難しい |
内部利益率法(IRR) | 投資期間全体を通じた収益性が判断できる | 投資規模や利益の大きさを考慮できない |
投資利益率法(ROI) | 事業に対する効果測定がしやすい | 長期的な評価には適していない |
それぞれメリット・デメリットがあるので使い分けていきましょう!
1.回収期間法
回収期間法は、投資した金額をどれくらいの期間で回収できるかを計算し、その妥当性を評価する方法です。
回収期間=投資額÷各期のキャッシュフロー
もっとも簡単に投資回収期間を計算できる方法のため、簡易的に効果を確認する場合に多く使われます。
ただし、回収期間が長期化する場合の外部要因を考慮できないことや、3年後、5年後の金銭価値を同じと考えて計算するなどのデメリットがあります。
計算方法は簡単ですが、簡易的な評価しかできないのが欠点ですね。
2.正味現在価値法(NPV)
正味現在価値法(NPV)は投資が生み出すキャッシュフローの現在価値を算出して、得られる価値を判断する手法です。
正味現在価値法(NPV)=期間内に見込める現在価値に換算したキャッシュフローの合計 ー 初期投資額
NPVがプラスになれば投資する価値があると判断できます!
なお、期間内に見込める現在価値に換算したキャッシュフローの合計は、各年の値を以下の式で算出し、それぞれを足し合わせて求めます。
n年後に得られるキャッシュフロー÷(1+割引率)^n
※^は累乗
得られるキャッシュフローが年間1,000万円で割引率3%の場合の計算は以下の通りです。
- 1年目 1,000万円÷1.03^1=970万円
- 2年目 1,000万円÷1.03^2=942万円
- 3年目 1,000万円÷1.03^3=915万円
- キャッシュフロー合計=970万円+942万円+915万円=2,827万円
3年間のキャッシュフローの合計2,827万円よりも投資額が小さければ、投資に値すると判断できます。
ちなみに現在価値に置き換えるのは、時間の経過とともにお金の価値が変動するためです。たとえば、現金は銀行に預けておくだけでも金利がつきます。ほかにも物価上昇や別の投資に使う機会損失などで、将来得られるお金のほうが価値が低くなると考えます。
このように将来価値を反映することで、より現実的な基準で投資の妥当性を見極められるわけです。
ただし、割引率が少し変わるだけで結果が大きく変わることがある点には注意が必要です。客観的な基準にもとづいて設定することがポイントとなるでしょう。
3.内部利益率法(IRR)
内部利益率法は、投資によって得られる将来のキャッシュフローの現在価値の合計が、投資総額と等しくなる割引率を求める方法です。
以下の式をもとに割引率を算出します。
- 現在価値×(1+年利)^年数=将来価値
- 現在価値=将来価値/(1+割引率)^年数
※^は累乗
算出した値は投資金額の予想利回りとイコールの関係になっています!
計算した結果が目標の利回りより高ければ、投資に値すると判断できるわけです。
計算式は複雑ですが、ExcelのIRR関数を使えば簡単に求められます。IRR関数の範囲の中に、毎年得られるキャッシュフローを入れていくことで自動計算してくれますよ。
内部利益率法のデメリットは、投資規模や利益の大きさを考慮できない点です。IRRの数値のみで判断した場合は、収益額が低い投資案件を評価してしまう可能性があります。
予想される収益額の大きさとあわせて総合的に評価しましょう。
4.投資利益率法(ROI)
投資利益率法は、その投資によってどれだけの利益を獲得できたかを確認する指標です。
以下の式の通り、投資によって得られる利益の合計を投資額で割り、利益率を算出します。
- 投資利益率=投資効果による総利益÷投資額×100(%)
※投資効果による総利益=売上‐売上原価‐投資額
ROIを使えば、費用対効果がどれだけ優れているのかを測れます!
ただし、長期的な評価には適していない点には注意しましょう。
ROIの数値はあくまで現時点のものなので、今後長期にわたって投資効果が評価できるかは判断ができません。
このように、さまざまな投資回収の妥当性を計算する方法がありますが、投資単体に対する評価がよくても、会社全体の方針に合致していなければお金を投入する意味がありません。
そのため、投資にあてる経営資源をどこに集中させるかを判断するには、経営戦略をしっかり立てることが大切です。
経営戦略については、関連記事「【まるわかり】経営戦略の成功事例7選を種類ごとに解説!共通するポイントも紹介」でさまざまな事例を紹介しているので参考にしてみてください。
投資回収期間を含んだ計画書の作成と実行手順4ステップ
投資をする際は、まず投資回収計画を作成し、計画に従って実行することが大切です。投資回収計画の作成と実際の投資、検証について以下のステップで解説します。
- 投資回収計画を作成する
- 必要な資金を調達する
- 投資を実行する
- 計画通り回収できているか検証する
順に解説していきます。
1.投資回収計画を作成
計画通りに投資回収ができず、回収期間が長引いてしまうと経営にも大きく悪影響を及ぼします。事前に投資回収計画を作成することで、実際に投資をしても問題ないか、計画通りに回収できるかの判断が不可欠です。
実際の投資額、投資によって得られる利益を算出して計算します。前段で解説した投資回収を評価する4つの計算式を使って、シミュレーションしてみましょう。
シミュレーションは複数パターン作成し検証しましょう!
2.必要な資金を調達する
投資回収計画を作成して回収期間に問題がないと判断できたら、必要な資金調達をはじめます。
銀行融資で資金を調達する場合は、作成した投資回収計算書や経営計画書などで融資先に説明し、融資に対して理解をしてもらうことが重要です。
また、新規の設備投資の場合は、複数の会社から見積りを取るなどして妥当な価格かどうか判断することも重要です。
融資を受けるには経営計画で説明するのが有効です!
なお、銀行から借り入れをする際は、融資を受けられる条件を満たしているかが重要となります。「自社が融資を受ける条件を満たしているかわからない…」のであれば、関連記事「【これでマスター】融資を受けるための5つの条件!審査に通るためのポイントも紹介」を参考にしてください。
銀行から借り入れを受ける際の注意点が理解できますよ。
3.投資を実行する
資金が調達できたら、実際に投資を進めます。設備投資の場合、設備の搬入や設置工事の日程などさまざまな確認事項が発生します。
実際に稼働してから「トラブルによって想定以上の費用がかかる」「思うように収益をあげられない」などの事態が発生する場合もありますので都度対応が必要です。
また、会計処理においては、導入する設備の耐用年数、減価償却の方法なども事前に確認しておきましょう。
余裕を持った計画を立てておくことも重要です!
4.計画通り回収できているか検証
実際に設備が稼働したら、計画通りに回収ができているか検証をしていきましょう。
想定通りの利益が出ていなければ、回収期間が長引いてしまうこともあります。計画に対して差が出ている原因を検証して適切に対処しましょう。
計画に対して回収期間が長引いてしまう場合は、追加の融資が必要になる場合もあります。回収計画の見直しも含めた対応が必要です。
投資を実行したあとも放置せず、必要があれば修正を加えていき利益を最大化しましょう!
ぜひこの記事を参考に、投資回収期間の妥当性をいろいろな角度から検証してみてください。
とはいえ、自社がどの程度まで投資をしても問題ないか具体的にわからないといった方も多いと思います。
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