「キャッシュフロー計算書の間接法について知りたい」
「キャッシュフロー計算書の間接法の作り方がわからない…」
「直接法との違いを教えてほしい」
起業したけど会社を経営するうえで必要な「資金管理」について、詳しく理解できていないといった方もいるかもしれません。
しかし、倒産リスクを減らすためには、お金に関する知識を身に付けることが必要です。
本記事では、以下の内容について詳しく解説します。
- キャッシュフロー計算書を間接法で作成するのがおすすめなケース
- キャッシュフロー計算書を間接法で作成する方法
- 間接法で作ったキャッシュフロー計算書が合わないときの対処法
キャッシュフロー計算書の間接法に関する理解が深まるので、ぜひ最後までお読みください。
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【おさらい】キャッシュフロー計算書の概要を30秒でサクッと解説
キャッシュフロー計算書は、一定期間内における会社の現金の出入りがわかる財務諸表の1つです。主に「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つに区分できます。
会社にある現金の増減が明確になるため、経営状態を把握するのに重要な書類です。キャッシュフロー計算書で資金の流れを把握しておくと、黒字倒産を回避できます。
利益がある状態にもかかわらず、会社に「現金がない」ことで経営破綻してしまうこと
利益がでているように見えても、支払いに必要な現金が会社にないことで破綻してしまうことがあります。
とくに、起業初期の場合は資金が限られていることが多いため、正しく経営計画を立てて財務管理をおこなうことが重要です。
なお、キャッシュフロー計算書の作成が義務付けられているのは、上場企業などに限られています。しかし、個人事業主の方や中小企業に不要というわけではありません。
経営をおこなうのに欠かせない、現金の残高や出入りの流れを明確にするツールなので、各項目の意味や作成方法を理解しておきましょう。
キャッシュフロー計算書の間接法について4つの観点別にわかりやすく解説
キャッシュフロー計算書の間接法について、以下の4つの項目を見ていきましょう。
- 特徴
- 項目
- ひな形
- 直接法との違い
それぞれ順番に詳しく解説していきます。
1.特徴
キャッシュフロー計算書を間接法でつくる際は、損益計算書の税引前当期純利益をベースに非現金項目などを調整して完成させます。
売上高から経費や税金などを差し引いた後に残る利益のことで、金額が増えるほどに業績が良好であると見なされる
純利益は会社の健全性を評価する際に、重要な指標です。
また、間接法でキャッシュフロー計算書をつくる際に必要な書類は「貸借対照表」と「損益計算書」のみです。そのため、作成のしやすさから多くの会社で間接法が採用されています。
ただし、取引ごとのキャッシュフローはわかりません。営業活動のお金の流れを詳しく把握できないことについては、注意が必要です。
2.項目
間接法は、区分された3つの項目に基づいてキャッシュフローを計算します。会社の経営状況が、ひと目でわかるのがポイントです。
間接法の項目は、以下のとおり区分されています。
項目 | 内容 |
---|---|
営業活動 | ・税引前当期純利益 ・減価償却費 ・売上債権の変動 ・棚卸資産の変動 など |
投資活動 | ・固定資産の購入、売却 ・有価証券の購入、売却 など |
財務活動 | ・自己株式の買い戻し ・長期借入金の返済や新規調達 など |
一般的には、このように分類されます。ただし、どの項目に記載するかは、会社により異なるのでご注意ください。
3.ひな形
間接法でキャッシュフロー計算書を作成したい方は、中小企業庁のホームぺージからひな形をダウンロードできます。
引用元:中小企業庁 会計ツール集
ひな形を探している方は、ぜひ活用してみてください。ただし、営業キャッシュフローに「税引前当期純利益」ではなく「税引後当期純利益」が使われている点に、注意が必要です。
作成する際は損益計算書と貸借対照表をもとに、前期や当期の数値を項目ごとに入力して計算します。単位や項目などを間違えないように注意して、数字を入力しましょう。
キャッシュフロー計算書の目的は、会社の実際の現金状況を把握することです。利益だけでなく、現金の流れを追跡することによって、会社が将来にわたって支払い能力を維持できるかを評価できます。
キャッシュフロー計算書を正しく分析し、将来の資金繰りや投資判断に役立てましょう。
4.直接法との違い
間接法か直接法かの影響を受けるのは「営業キャッシュフロー」のみです。営業活動における、商品販売での収入や人件費の支出などを、相殺することなく項目ごとに記載するのが直接法の特徴です。
一方、間接法は損益計算書の純利益をベースとして調整をおこなう点が異なります。
間接法と直接法について、メリットやデメリットなどを以下の表にまとめていますので、確認してみてください。
直接法 | 間接法 | |
---|---|---|
メリット | 取引ごとのお金の出入りが理解しやすい | 作成に必要な情報を収集しやすい |
デメリット | 作成に必要な情報収集に手間がかかる | キャッシュフローの詳細がわからない |
おすすめポイント | 国際会計基準(IFRS)が推奨している | 多くの会社が採用している |
キャッシュフロー計算書は、直接法と間接法のどちらを採用しても、最終的な値は一致します。
直接法は詳細を記載するため透明性が高いものの、労力がかかるというデメリットがあります。
一方、間接法は損益計算書や貸借対照表で計算したデータを利用するため、手間がかからない点がメリットです。また、多くの会社で間接法が採用されていることも特徴の1つです。
会社に適した方法を選択しましょう。
なお、キャッシュフロー計算書の直接法については、関連記事「【保存版】キャッシュフロー計算書の直接法を徹底解説!作成方法4ステップも紹介」で解説しています。
間接法の理解を深めるため、あわせて確認しておきましょう。
キャッシュフロー計算書を間接法で作成するのがおすすめなケース3選
間接法と直接法の、どちらを採用すべきかお悩みの方もいるかもしれません。ここでは、キャッシュフロー計算書を間接法で作成するのがおすすめなケースを3つ紹介します。
- 作成に手間をかけたくないとき
- 財務状態の詳細を把握したいとき
- 投資家や債権者の理解を深めたいとき
それぞれについて、詳しく解説します。
1.作成に手間をかけたくないとき
キャッシュフロー計算書を手間をかけずに作成したい場合は、間接法がおすすめです。
直接法の場合、売上帳や仕入帳などを用いて「営業活動」における、詳しいキャッシュフローの情報が必要です。そのため、作成に時間がかかります。
直接法は、国際会計基準(IFRS)が推奨していることもあり、詳細な項目がわかるのがメリットです。一方で、間接法は作成に手間がかからないので、多くの会社で採用されています。
業務が忙しいなどが原因で時間をかけられない場合には、間接法で作成するといいでしょう。
2.営業活動の妥当性を把握したいとき
間接法でキャッシュフロー計算書を作成すると、お金の増減がわかるだけでなく、営業活動の状態について詳しく把握できます。
減価償却費がいくらかかったか、営業外収入がどれくらいあったかなど、計算している期間における現金の増減がわかるのがポイントです。
営業活動の項目ごとに、どれくらい現金が動いているかを確認するのに役立ちますよ。
未収の売掛金がいくらあるかも把握できるので、これから入ってくる現金の見通しも立てられます。
3.投資家や債権者の理解を深めたいとき
純利益からさまざまな調整によって現金の流れが導き出される間接法は、財務の専門家ではない人でも理解しやすい形式となっています。
投資家へ出資をお願いする際などにも、間接法のキャッシュフロー計算書を使用すればわかりやすく説明できるでしょう。誰が見てもわかりやすい書類にしたい場合には、間接法を採用してみてください。
ちなみに資金調達において、財務諸表もあわせて重要視される傾向があります。決算のときには必ず貸借対照表をチェックして資産が積み上がっているをチェックしておきましょう。
詳しい内容は、関連記事「【一撃でわかる】貸借対照表とは会社のお財布事情を示す書類!基礎から作り方まで完全解説」を参考にしてください!
また、財務諸表と経営状態の関係について理解を深めるなら、戦略MG(マネジメントゲーム)で体験するのがおすすめです。
経営を疑似体験することで、キャッシュフロー計算書を含めた財務三表を作ることの重要性がわかります!
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キャッシュフロー計算書を間接法で作成する5ステップ
間接法でキャッシュフロー計算書を作成するには、貸借対照表(前期分・当期分)と損益計算書(当期分)が必要です。ここでは、作成手順を5ステップで解説します。
- 税引前当期純利益の額を記載する
- 非資金損益項目を調整する
- 営業活動におけるお金の流れを計算する
- 投資活動と財務活動のお金の流れを計算する
- 全てを合算する
それぞれ順番に見ていきましょう。
1.税引前当期純利益の額を記載する
当月分の損益計算書から税引前当期純利益の額をキャッシュフロー計算書に転記します。
キャッシュフロー計算書では、損益計算書の「税引前当期純利益」は「税金等調整前当期純利益」の項目に該当します。
前期分ではなく当期分であることを確認し、間違いのないよう転記しましょう。
2.非資金損益項目を調整する
非資金損益項目とは、現金の動きとは直接関係のない項目のことです。たとえば「減価償却費」や「貸倒引当金」などが該当します。
どちらも損益計算書では「費用」として計上されています。しかし、実際には支出していないため、費用として計上した金額を加算することが必要です。
非資金損益項目を反映することで、損益計算書では見えていなかった会社の現金の流れが正確になります。
3.営業活動におけるお金の流れを計算する
営業活動によるお金の出入りは、ポイントを押さえておくことが大切です。
計算時のポイントを以下の表にまとめているので、ぜひ参考にしてください。
項目 | 計算時のポイント |
---|---|
減価償却費 | 現金は減少しないため、減価償却費として計上した金額を加算する |
売掛金の減少 | 現金が増えたことを意味するため、利益に加算する |
売掛金の増加 | 現金が手元に入っていないため、利益から減算する |
仕入債務の増加 | 現金が手元に残っていることを意味するため、利益に加算する |
仕入債務の減少 | 現金を支払ったことを意味するため、利益から減算する |
その他の営業活動における非現金の調整 | 現金の流れを正しく反映するために、利益に加算・減算が必要 (例)未払い利息など |
現金の流れをそのまま転記すると、最終的な金額が合わなくなるので注意が必要です。プラスとマイナスのどちらで計上するのかを調整することで、営業活動における正確な現金の流れを算出できます。
4.投資活動と財務活動のお金の流れを計算する
資産や債務の変動を含む、お金の流れを計算します。
項目 | 内容 |
---|---|
投資活動 | 資産の売買や、利益を見込んで資金を投じたことに関連して発生した損益のこと |
財務活動 | 株主に対する配当や債務の発行、償還に関連して発生した損益のこと |
投資活動では、資産の売買や投資の回収などによって生じる現金の流れを計算します。不動産でたとえるなら、購入時には現金を使用したためマイナス、売却時には現金が入ってくるためプラスとして計算が必要です。
投資活動は最終的な計算結果がマイナスであっても問題ありません。会社に必要な投資であれば、赤字になることもあるからです。ただし、長期的にマイナスが続く場合には見直す必要があるでしょう。
また、財務活動では、会社に必要な資金調達や株主への配当支払いなどに関連する現金の動きを示します。借入金の返済や株式の買い戻し、配当支払いはマイナス、新たな借入れや株式発行ではプラスとして計算してください。
5. 全てを合算する
「営業活動」「投資活動」「財務活動」のキャッシュフローを合算し、期末の現金残高と比較します。
貸借対照表の現金預金の変動額と同じであれば正しく作成できていることになるので、確認してみてください。
キャッシュフロー計算書は、貸借対照表や損益計算書ではわからない「一定期間における現金あるいはすぐに現金化できる資産」を把握できます。
営業活動で安定して収益を生み出し、現金が増えている状態であれば、財務状態が健全であることを示します。
間接法で作成したキャッシュフロー計算書の現金が増えているかを、今一度確認してみましょう。
キャッシュフロー計算書が作成できたら分析して、経営状態の改善に活かすことが重要です。
とはいえ、ビジネスの現場でいきなり策を打つことは難しいのも事実。かといって手探りで対応するのはよくありません。
そこでおすすめなのが戦略MG(マネジメントゲーム)です。経営を疑似体験することで、財務諸表の分析内容を活かした改善策の立て方を実践形式で学べます。
詳しい内容は、関連記事「【講師直伝】戦略MG(マネジメントゲーム)研修とは?得られるスキルとゲームの流れを徹底解説」で解説しています。ぜひ参考にしてくださいね!
間接法で作成したキャッシュフロー計算書と現金が合わないときの対処法2選
作成した間接法のキャッシュフロー計算書と現金残高が合わない場合、問題を特定して修正する必要があります。ここでは、2つの対処法について解説します。
- 数字の入力ミスがないか
- 仕訳に誤りがないか
1つずつご確認ください。
1.数字の入力ミスがないか
キャッシュフロー計算書の合計と現金残高が合わない場合、数字の入力ミスがないか確認しましょう。
見返してみると、意外にも入力ミスが原因なこともあります。
非現金項目の加算や減算、運転資本の変動を計算する式などに、誤りがないか確かめてみてください。
それでも計算が合わない場合は、必要な項目が計算書に含まれているか、慎重に見直してみましょう。
2.仕訳に誤りがないか
キャッシュフロー計算書に影響を与える可能性がある現金や、非現金取引に関する仕訳を、注意深くチェックしてみてください。
減価償却費や減損損失などの項目は、間接法のキャッシュフロー計算書では純利益から調整されるため、誤りがあると最終的な現金の合計に影響を与えます。
とくに、以下の項目の仕訳では調整が必要です。
項目 | 調整内容 |
---|---|
売上債権 | 販売したもののまだお金を手にしていない場合には「マイナス」 |
減価償却費 | 実際にお金を支払ったわけではないため「プラス」 |
前払費用 | まだ期日は来ていないけれどもすでに支払っているお金は「プラス」 (例)年払い保険料など |
仕訳の誤りが原因によるミスとなっていないか、チェックしてみてください。
なお、実践的に手を動かしながら経営スキルを身につけたい方は、戦略MGに参加するのがおすすめです!
どのような経営状態だと安心できるか、投資しても問題ないタイミングなどをゲーム形式で学べます。グループワークでは競合他社との差別化をはかるコツがわかるため、実際の経営にも役立てられるのが魅力です。
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戦略MGの詳しい内容を知ってから判断したい方は、関連記事「【講師直伝】戦略MG(マネジメントゲーム)研修とは?得られるスキルとゲームの流れを徹底解説」をのぞいてみてくださいね。